HSK6級のリスニング、難しすぎる...(´;ω;`)
HSK6級のリスニングはマジで難しいですよね。笑
今回は、同じ想いを経験したことのある僕が、HSK6級でスコア8割超えするための听力(リスニング)対策の方勉強法を紹介していきます。
HSK6級のリスニングは訓練しないとマジで終わる「HSK5級合格したから6級もイケるでしょ!」といったノリでHSK6級を受けると、間違いなく爆死します。初めて過去問を解いてみたら、正答率が2割程度だったという人も少なくありません。僕もかつてはそうでした。
それだけ、HSK6級のリスニングは難しいのです。
なぜHSK6級が難しく感じるのかというと
- ネイティブがフルスピードで読み上げてくる
- 単語帳に載ってない知らない単語も多く出てくる
この2つが主な原因です。
たとえば、こういった文章があったとしましょう。
Réngōng zhìnéng jìshù zhúnián shèntòu wǒmen de shēnghuó 人工智能技术逐年渗透我们的生活
文字としてみれば「AI技術はだんだん私たちの生活に浸透してきている」みたいに理解できるかと思いますが、何も見ないでいきなりこれが読まれたら、おそらく訓練を積んでいない限りは理解できないはずです。
でもHSK6級は空気を読みません。剛速球を投げるかのごとく、容赦なくこの文章を読み上げてきます。
- 文字で読めば理解できるのに、速すぎて脳内でイメージできない
- その上知らない単語が混じってきて、もう何が何だかわからない
これがHSK6級レベルのリスニングが難しいと言われる正体です。
このことを理解していないのに「過去問を何回も繰り返し勉強する」「市販の教材で毎日聞き流しする」のは残念ながらまったく効果がありません。根本的なリスニング力は上がらない上に、せっかくの貴重な時間も無駄にしてしまうことになります。
「HSK6級に合格したい!」と本気で考えている人にはそういった想いをして欲しくないので、本記事では確実にリスニング力を高める勉強法を紹介していきます。
この後紹介する方法を日頃の勉強に取り入れることで、2割ほどのスコアを7-8割にまで伸ばすことが可能になります。僕自身の経験からも、僕がコーチングしている受講生の方々の実績からも、自信を持ってお伝えできます。
ただ「3日でリスニング力があがる!」みたいな即効性のある方法ではありません。もしそういった方法を期待していた方は、そっとこのページを閉じて他の方法を見つけてください。
「時間をかけても確実にリスニング力を伸ばしたい!」という人にだけ、リスニング力を爆上げする勉強法を紹介していきます。
HSK6級の听力(リスニング)で得点を伸ばす秘訣
HSK6級のリスニング力と得点力を高める秘訣。
それは「いかに面倒な作業をコツコツと積み重ねていけるか」にかかっています。
中国語で例えるなら
Bùnéng jíyúqiúchéng, yào xúnxùjiànjìn不能急于求成,要循序渐进
といった所ですね。
(急いで成功を求めるのではなく、順序良くゆっくり進める)
より具体的な勉強方法としてはいかに「精読+α」を実践できるかで勝負は決まります。
まずはすべての基礎となる「精読」から紹介します。
リスニングを鍛える上で必須の”精読”とは
精読というのは「内容をよく考えながら、細かいところまで丁寧に読むこと」を意味します。熟読と言い換えてもいいかもしれません。
「何当たり前のこと言ってるの?」と思うかもしれませんが、案外この精読が出来ていない人は多いです。なぜなら、面倒だから。
HSK6級に合格するために、過去問を買う人は多いですが、問題を解いて終わりという「解きっぱなし」の人がめちゃくちゃ多い。
僕が考える精読というのは、以下3つのステップから構成されています。
リスニング力を鍛える上で必須の精読プロセス
- 問題を解いて答え合わせをする
- 曖昧な点や不明な箇所を調べて明確にする
- 理解した後、声に出してスクリプトを読む
基本とも言えるプロセスなので、1つずつ確認していきます。
精読のステップ①:問題を解いて答え合わせをする
まずはHSK6級に合格するために、過去問は必ず用意しておきましょう。
2022年10月時点で「HSK公式過去問集(2021年度)」が発売されています。5回分の問題が一式収録されているので、これ一冊持っておけば過去問対策としては十分です。
「听力」は第一部分~第三部分のパートで構成されています。
- 第一部分:放送される短文の内容に一致する選択肢を選ぶ
- 第二部分:放送される対話を聞き、質問に対する答えを選ぶ
- 第三部分:放送される長文の内容に一致する選択肢を選ぶ
各回ごとに一気に解く必要はありません。
モチベーション維持のためにも「今日は第1回の第一部分だけやろ」みたいな感じでOKです。ただし、この後のプロセス②と③まであわせてやるようにしてください。
第一部分から第三部分までの対策方法については、僕がまとめたオリジナルスライドを公式LINEで無料配布しています。 → すでに配布終了しました。
良ければあわせてチェックしてみてください。>> 公式LINEに登録してHSK6級対策スライドを無料でゲットする(配布終了)
精読のステップ②:曖昧な点や不明な箇所を調べて明確にする
答えあわせだけして終わりにしたのでは意味がありません。
正解した問題も含めて、しっかりとスクリプト(実際に読まれた文章)や解説を読み、不明点は調べてクリアにしておきましょう。
わからない箇所が多くても萎える必要はありません。それだけ成長余地がある証拠なので、あわてず1つずつ単語の意味やピンインなどを調べて理解するようにしてください。
精読のステップ③:理解した後、声に出してスクリプトを読む
精読の最後のプロセスは「スクリプトのセルフ音読」です。
声に出してスクリプトを音読する作業はめちゃくちゃ大事です。ここをするかしないかで、リスニングの基礎力は大きく変わります。
ここで冒頭で出した具体例を思い出してみてください。
Réngōng zhìnéng jìshù zhúnián shèntòu wǒmen de shēnghuó 人工智能技术逐年渗透我们的生活
「”人工智能”は人工知能(AI)の意味で、”渗透”は~に浸透する意味だな」とステップ②までの作業で理解できたとしても、自分の脳がこの文章を瞬時に処理できなければ、実際に聞き取れるようにはなりません。
自分の脳が処理できないということは、自分の脳内データベースに情報がないことを意味します。
たとえば「1192年」と年号だけ聞いて、鎌倉幕府を思い出せるのは、学生時代にイヤというほど歴史を勉強したから(もしくは語呂が覚えやすくて脳内に定着しているから)。
これと同じ原理で、瞬時に意味を認識・理解できるようにするためにも、スクリプトの音読が必要になるというわけです。
だからこそ繰り返し自分の声に出して、脳内に刻み込む作業を大切にしてみてください。
HSK6級の听力(リスニング)の力を確実に伸ばす勉強方法
HSK6級レベルのリスニング力をつけるためには「精読+α」の実践が大切なこと。そして、精読は3つのステップから成り立っていることについて解説してきました。
ここまで徹底するだけでも、リスニング力はだいぶ上がります。得点で言えば、5割くらいまでは伸ばせます。ただ合格点にはまだまだといったところ。
さっきまでは「自分の発音」を脳内に刻み込む作業をしていましたが、ここからの+αトレーニングでは「ネイティブの発音とスピード感」を脳内に刻み込んでいきます。
+αに該当する具体的な勉強法がこの3つ。
リスニング力を爆上げする3つの勉強法
- オーバーラッピング
- ディクテーション
- シャドーイング
「なんか聞いたことある」「違いがよくわからない」といった状態かもしれないので、1つずつ紹介していきますが、先に結論だけお伝えしておきます。
結論としては、最低でも「オーバーラッピング」まではやって欲しいです。もう少し余裕がある人は「シャドーイング」も。ガッツリ勉強できる人は「ディクテーション」含めたすべての勉強法を取り入れてみてください。その理由についても触れていきます。
听力を飛躍的に高める方法①:オーバーラッピング
オーバー(over::上から)ラップ(lap:包む)という意味で、ネイティブの発音に重ねるようにして文章を読み上げる勉強方法をオーバーラッピングといいます。
この後みていくディクテーションやシャドーイングと大きく違うのは、文章(過去問ならスクリプト)を見てもOKという点です。
「なんだ簡単じゃん」と思われるかもしれませんが、やってみると案外難しいもの。
- 普通に読んでいてもネイティブのスピードについていけない
- わからない単語やピンインが曖昧な単語があると途中でつまる
- 単語や文法は理解していても、スムーズに読めない箇所がある
などなど、ネイティブの音声に重ねて発音することで、理想の中国語と自分の中国語との”差”を感じることができるのです。
精読の3ステップ目では「自分の発音」で脳内に刻む作業をしてきましたが、これは自分の好きなペースで進められるので実は楽な作業。一方、オーバーラッピングでは「待ったなし」でネイティブが(たぶん)ドヤ顔で読み上げてくるので、文章を見ながらでも最初は苦労します。
ですが、ネイティブのスピードについていけるようになれば、正確な発音だけでなく文章の区切り位置なども把握でき、よりスムーズで自然な中国語が身につくようになります。
HSK6級レベルの听力対策としては、最低でも「精読とオーバーラッピング」まではやって欲しいところです。
听力を飛躍的に高める方法②:ディクテーション
続いては「ディクテーション」について。
ディクテーションは音声だけ聞いて、聞き取った内容を”一言一句”書いていく勉強方法になります。先ほどのオーバーラッピングとは違い、何も見てはいけません。その上、ノートなどに聞き取った中国語やピンインを書いていきます。
ここで、ディクテーションのメリットとデメリットをまとめておきます。
ディクテーションのメリット- アウトプットした結果が目に見えるため、間違いを明確にできる
- 普段書かないため、簡体字を書く練習にもなる(”书写”にも活用可)
- 簡体字だけでなく、ピンインも正確に修正できる
- 確実にリスニング力の底上げになる
- めちゃくちゃ時間がかかる
- 難しすぎる文章や長文だと、継続出来ない
メリットとデメリットをざっとまとめるとこんな感じです。
それ相応の時間と労力をつぎ込む代わりに、大きなリターンを得るようなトレーニング方法です。リスニング力の底上げをしたいのであれば、ぜひ取り入れてみて欲しいのですが、なにせ時間がかかります。
そのため、たとえば毎日30分と時間を決めた上で、適切なテキストを使ってディクテーションするのが良いでしょう。HSK6級対策の听力問題のスクリプトを使ってもいいのですが、ディクテーションするにはちょっと難しいので、ほど良い分量と難易度の「HSK6級 読む聴く覚える2500」を使うのが今のところ一番おすすめです。
HSK6級レベルの単語をストーリーとあわせて学べるので、語彙力アップにもリスニング力アップにも役立ちます。ディクテーション用として紹介しましたが、僕はオーバーラッピング用の教材としても活用しています。
本書の特徴や実際に使ってみたレビューは中国語「読む聴く覚える2500」の感想を徹底レビューで紹介しています。
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中国語「読む聴く覚える2500」の感想を徹底レビュー
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听力を飛躍的に高める方法③:シャドーイング
最後は「シャドーイング」について紹介します。
シャドーイングは先に音声を聞いて、その後から影のように追いかけて発音する勉強法のことをいいます。ディクテーションと並んで、シャドーイングという言葉を聞いたことがある人は多いかもしれませんね。
先ほどのディクテーションと同様に、何も見ずに音声を聞くという点では共通していますが、アウトプット方法が以下のように違います。
ディクテーションとシャドーイングの違い
- ディクテーション:音声を聞いて、簡体字やピンインを書くトレーニング方法
- シャドーイング:音声を聞いて、少し遅れて話すトレーニング方法
「リスニング力上げたいならシャドーイング!」と言われることはありますが、実はそんな簡単に取り組めるものではありません。
「カエルの歌」を後から追いかけて歌う遊びをしたことはありますか?あれはすでに歌詞を覚えている状況で、メロディーを追いかけるところに難しさがありますが、シャドーイングも構造的にはこれに似た難しさがあります。
歌詞の代わりに読まれる文章は覚えていないし、メロディラインもない。こんな状況で、ネイティブが読み上げた文章を短期記憶しつつ、文章を口に出す作業を繰り返さなければならないので、カオスです。簡単に言えば、脳内処理が追い付かずオーバーフローします。
「何を言ってるかわからないけど、とりあえず発音しよう」みたいにモゴモゴしたやり方では、シャドーイング本来の効果は何も期待できません。むしろ、何も効果が出ていないのに”やった感”だけ味わえて時間が溶けていくというマイナスにもなりかねないのです。
シャドーイングに取り組める発動条件を決めておく「じゃあどうすればいいのか?」と聞かれたら、発動条件を決めておくのがおすすめ。
最低でも以下の要件を満たした上で、シャドーイングに取り組んだ方が良いです。
シャドーイングに取り組むための最低条件
- 精読が完璧で、自分一人でもスラスラ読める
- オーバーラッピングしても、ネイティブのスピードについていける
ここが出来ていないのであれば、シャドーイングのステップに移るにはまだ早いと言えます。
シャドーイングができるようになると、瞬時に中国語の意味や構文が理解でき、劇的にリスニング能力は向上しますが、それにはやはり時間がかかるのです。
教材としては、HSK過去問のスクリプト(第一部分か第二部分)や先ほど紹介した本がちょうどいいです。使用するテキストが多過ぎても、まわらなくなってしまうので。
いずれにしても、段階を踏んだ上でシャドーイングに挑むようにしてみてください。
まとめ:HSK6級の听力(リスニング)対策は「精読+α」の勉強方法がおすすめ!
今回はHSK6級の听力(リスニング)対策で8割超えを狙える勉強方法を解説してきました。
ポイントをまとめると
- 中国語のリスニング力を鍛えるには「精読+α」の勉強方法が重要
- 精読は文章を丁寧に解読して不明点をなくす地道な作業
- +αには①オーバーラッピング、②ディクテーション、③シャドーイングがある
- リスニング対策としては最低でも「精読+オーバーラッピング」はする
- リスニングのコアな力を上げるためには地道な努力が何よりも大切
こんな感じですね。
いずれの方法も、最初は慣れるまで多少大変かもしれませんが、毎日少しずつでも習慣化させることができれば、数か月後には驚くほどネイティブの会話が聞き取れるようになっています。
HSK6級の合格はもちろんですが、よりハイレベルな中国語を聞き取れるようにするためにも、本記事で紹介した方法をぜひ実践してみてください!