”中国語は難しい”ってよく聞くけど何でなの?詳しく教えて欲しい。
こんな悩みに答えていきます。
中国語が難しいのは「見慣れない世界の連続」だから中国語が難しい理由を興味本位で知りたい人もいると思うので、結論からお伝えしておきます。
中国語が難しいと言われる理由、それは
見慣れない世界の”連続”だから
です。
英語以外の言語を第二外国語として学ぶとき、すべての言語は「見慣れない世界」と言えます。ですが、中国語の場合はそれが「連続」しているのです。
そもそも言語というのは、以下の要素が組み合わさって成り立つもの。
- リスニング:相手の話している言葉や内容を理解する能力
- リーディング:書かれている文章などを読み取り、理解する能力
- ライティング:自分の主張や想いを”文字”に起こして表現する能力
- スピーキング:自分の主張や想いを”言葉”に起こして表現する能力
中国語の場合、これらすべてにおいて「知らない世界(要素)」が散りばめられています。
これこそが、中国語が難しいと言われている本質的な理由であり、中国語を学ぶ人を悩ませ困らせている原因と言えます。
もし「これから中国語を学んでみたい」と考えている人は、中国語が難しいと言われる理由をしっかりと理解した上で学習するようにしてください。本質を理解しないまま学習を進めると、途中で挫折する可能性が高まるからです。
また、中国語は難しいという事実は揺るぎませんが、中国語を学ぶことで得られる「大きなメリット」もあります。本記事では、その点まで言及してまとめていきます。
本気で中国語を学ぼうと考えている人だけ、最後まで読んでみてください。
中国語が難しいと言われる本質的な理由とは?
中国語は「見慣れない世界の連続」ゆえに難しいと冒頭でお伝えしてきました。
もう少しイメージしやすいように、言語の各要素にあてはめたものがこちら。
- リスニング:言葉が魔球のようにどこから飛んでくるかわからないため難しい
- リーディング:何となくわかる漢字もあるが、漢字の形や意味が違うため難しい
- ライティング:簡体字という漢字を使って中国語文法にそって書くため難しい
- スピーキング:ピンインというルールにそって話さないと伝わらないため難しい
「リスニング、リーディング、ライティング、スピーキング」いずれの要素においても、中国語ならではの難しさがあるということです。より具体的に解説していきます。
中国語が難しい理由①:リスニングはまるで「魔球」
まずはリスニング。中国語では「听力 tīng lì」と言われます。
僕らが日本語を聞き取れる理由中国語に限らず、リスニングというのは「相手の話した言葉を聞き取り、理解するプロセス」を言います。野球でたとえるなら、ピッチャーの投げてきたボールを打てるかどうかに相当するイメージです。
日本語を母国語とする僕らにとっては、日本人と話すことは基本的に問題ないはずです。これは、ピッチャーが”日本語”という球種を投げて来るとわかっているから。
僕らにとってはすべてストレートと感じるほど打ちやすいのです。言い換えれば、僕ら日本人は「日本語」というボールの”クセ”を熟知しているから容易に聞き取れるとも言えます。
中国語を聞き取るのが難しい理由一方の中国語はまるで「魔球」です。
中国人は”平均的に”話すスピードもめちゃくちゃ速いので、剛速球を投げてきます。その上、突然見たこともない軌道で曲がるボールを投げてくるので、打ちたくても打てないのです。
野球にたとえた雑な説明になってしまいましたが、これが中国語のリスニングが難しいと言われる本質なのです。
「見たこともない軌道」と比喩的にお伝えしましたが、これに相当するのが「ピンイン」や「四声」と言われるものです。中国語の発音をアルファベットで表記したものがピンインで、アルファベットの上に書かれている声調を表すマークが四声です。
知っておきたい中国語の発音に関する言葉
- ピンイン:簡体字で表記された中国語の発音をアルファベットで表記したもの
- 四声:”しせい”と読み、発音する際の声調を表記したもの
冒頭でリスニングは「听力」と言いますと紹介しましたが、この”听力”ってどうやって発音するかわからないですよね。こういった時に使うのがピンインです。
听力のピンインは「tīng lì」となります。そして、声に出して読む際には「i」の上側についているマークを意識して読まなければならないルールとなっています。これが四声です。
中国語学習の初期に学ぶ論点なので、詳しくはそちらにゆずります。
こういったものが組み合わさって投げられる言語が「中国語」なのです。魔球ではありますが、訓練を積めば確実に打ち返せるようになるのも、中国語の面白い魅力の一つということを付け加えておきます。
中国語が難しい理由②:リーディングはわかりそうで全然わからない
続いてはリーディングです。リーディングは中国語で「阅读 yuè dú」と言います。日本語に置き換えるなら「読解」ですね。
リーディングは与えられた中国語を読めるか読めないかの世界なので、語彙力や文法力を身に付ければ確実に読めるようになります。そういった理由もあり、リスニングに比べてリーディングを得意としている人も多いです。
ただ初学者の人にとっては、わかりそうで全然わからないのがリーディングでもあります。
「日本人は漢字を知ってるから中国語を学ぶのに有利」と聞いたことはありませんか?
たしかに、漢字の文化がない欧米の人が中国語を学習する場合と比べれば、幾分かのアドバンテージはあります。ですが、漢字を知っていることと、中国語を習得できることはまったく別の話です。主な理由としては、
- そもそも使われる漢字の種類が違う
- 同じ漢字でも意味が全く異なることがある
この2つがあげられます。
主な違い①:使われる漢字の種類が違う何度か登場していますが、中国語では「簡体字」といわれるものが使われます。ちなみに、台湾や香港では「繁体字」といわれるものが使われています。
ちょうどリーディングの話をしているのでこれを題材にしてみましょう。日本語では「読解」ですが、中国語(簡体字)では「阅读」となります。見たこともない漢字ですよね。
他にも
- 食事をする ➡ 吃饭
- 映画を観る ➡ 看电影
- 音楽を聴く ➡ 听音乐
といったように、日頃使っている漢字とは異なる「簡体字」を学ぶ必要があるのです。
主な違い②:同じ漢字でも意味がまったく違うそして紛らわしいことに、同じ漢字だからといって同じ意味になるとは限りません。
これは漢字が染みついている僕ら日本人にとっては厄介な問題。いくつか例をあげると
- 合同 hé tong ➡ 合同ではなく”契約”
- 经理 jīng lǐ ➡ 経理ではなく”マネージャー”
- 爱人 ài ren ➡ 愛人ではなく”配偶者”
- 勉强 miǎn qiǎng ➡ 勉強ではなく”強制する”
- 新闻 xīn wén ➡ 新聞ではなく”ニュース”
こんな感じ。
同じ漢字なのに意味が違うのは、初学者が戸惑うポイントにもなります。
中でも「愛人」なのに中国語で「夫や妻」を意味するのはビックリですよね。まあよくよく考えてみれば、愛している人と書いてるのに「不倫」的なニュアンスを出している日本語の方が変な気はしますが。
中国語が難しい理由③:ライティングは文法を知らないと書けない
中国語が難しい理由の3つ目はライティングです。
中国語では「书写 shū xiě」とか「写作 xiě zuò」と言います。
日本語訳を中国語に直したり、何もないところから日記のように文字を書いていく技術がライティングです。ライティングは「文字」を通じたアウトプットなので、リーディングよりもはるかに難しいです。
具体的には
- 簡体字を正確に書く必要がある
- 中国語の文法にそって書く必要がある
この2つが求められることになります。
ただこれ自体は、他の言語と同じです。コツコツと語彙や文法といった基礎を固めて練習すれば、確実にできるようになります。
中国語が難しい理由④:スピーキングは発音をミスると終わる
そして最後はスピーキングです。中国語でいうなら「会话 huì huà」「说话 shuō huà」といったところ。
スピーキングはリスニングと並んで難しいです。
野球でたとえるなら、リスニングが「魔球を受ける側(聞き手)」であったのに対して、スピーキングは「魔球を投げる側(話し手)」となるからです。
「魔球を投げる」と聞くと大事のように聞こえますが、正確なピンインと四声のもとで発音することが求められます。なぜなら、この発音(ピンインと四声)を間違えると、相手にまったくと言っていいほど伝わらないからです。
目的地を理解できないタクシーの運転手僕が上海で仕事をしている時のこと。
日本と違いタクシー料金も安いので、交通手段として頻繁にタクシーを使っていました。タクシーに乗車したら、運転手に「〇〇まで」と伝えるのですが、中国では一般的に「通り道の名称」を伝えます。
道の名前を2つ伝えることで、必然的にその交差点まで向かってくれる便利なシステムになっているのです。
当時僕は「武宁南路 wǔníngnánlù」という道のそばに住んでいたので、よく「到○○路,武宁南路」みたいに伝えていました。この時、武宁南路は「3声-2声-2声-4声」の四声なのですが、よく間違えて「2声-3声-2声-4声」と話すクセがありました。
すると決まって「啊?什么?」みたいに聞き返されます。
発音の仕方がわからない人には「?」かもしれませんが、四声がちょっと間違えただけでも伝わらないのが中国語という世界なのです。もちろん、中には意味を察してくれる人もいますが。
発音を間違えると終わるパターンもう一つ。
これは本当にあった話かは疑わしいですが、僕が中国語を学び始めた頃に聞いた笑い話(?)を紹介します。
飲食店などで値段を聞く時、中国語では「○○多少钱?」のような聞き方をします。ある男性が水餃子を食べて、女性店員に「水餃子いくら?」と聞いたところ、殴られてしまったそうです。
水餃子は中国語で「水饺 shuǐ jiǎo」と「3声-3声」で発音するのですが、その男性は間違って「睡觉 shuì jiào」と「4声-4声」で発音してしまったそうなのです。つまり女性店員に向かって「睡觉多少钱?(あなたと寝るのはいくら?)」と聞いて殴られたという話です。
ウソっぽい話ではありますが、中国語における発音の重要性が感じられるはずです。
中国語を学ぶことで得られる大きなメリット
ここまで「中国語は難しい」と言われる理由をできるだけ噛み砕いて紹介してきました。
「中国語は難しいから勉強するのやめよう」となってしまうのでは不本意なので、中国語を学ぶことで得られる大きなメリットについて最後に紹介させてください。
結論として、中国語を学ぶことで
- 頭の回転が速くなり頭が良くなる
- 中国人と交流できることで可能性が広がる
- 中国の名言に触れて、人生の教訓や指針を見つけられる
- 中国の名言を通じて、自分の軸が出来て豊かな人生を送れる
といったメリットを得ることができます。
中国語のスゴイ所は、1文字1文字に意味が込められている点です。すべて漢字なので、必ずなにかしらの意味が含まれています。日本語のひらがな単体(例:「あ」)が何の意味も持たないのとは対照的です。
そして、中上級レベルにはなりますが、中国語の名言を学ぶことで「人生の教訓や指針」を得ることも可能です。大げさと思われるかもしれませんが、ホントです。
たとえば「今から中国語に挑戦するのは、年齢的にも厳しいかもな。。。」と年齢を言い訳にして挑戦をあきらめてしまう人。
そんな人にはこの言葉を知ってもらいたいです。
活到老学到老 huó dào lǎo xué dào lǎo
「若い頃は自分の理想や安定のために学ぶ。中年になったら、どこか満たされない自分の心を補うために学ぶ。年老いたら、学問を一種の境地として楽しむ」
こんな意味を持つことわざです。
「年齢なんて関係なく、一生学び続けることが大事」ということを教えてくれる言葉でもあります。
これはあくまで一例ですが、このように中国語の名言を通して様々なことを学べるのが中国語学習の醍醐味といえます。漢字たったの6文字なのに、こんなに意味が込められていることに感動すら覚えます。
まとめ:中国語は難しい!だからこそ学びが深くて楽しい!
今回は中国語が難しいと言われる本質的な理由について紹介してきました。
「やっぱり中国語は難しいんだ」と感じてしまった人。
「中国語は難しそうだけど、なんだか楽しそう」と感じてくれた人。
色んな感想があるかと思いますが、僕としてはぜひ中国語という世界に足を踏み入れてみて欲しいと思っています。散々、中国語が難しいという話をしてきましたが、本当に難しくなるのは中上級レベルからです。
それまでにしっかりと基礎を身に付ければ、劇的に成長することも夢ではありません。
本記事が中国語学習に踏み出すキッカケになればうれしいです。